2008年12月3日水曜日

幼児教育について
























2008年10月、
安曇野市穂高に完成したベビーマスサイン体験コテージ


《幼児教育について》     佐藤和子

1. 三つ子の魂百まで
「三つ子の魂百まで」という諺があります。
幼い頃に培った性質や習慣は、100歳になっても変わらない、
というたとえです。

私がこのことを強く感じたのは、次のような経験からです。
私が自宅で子供英語教室をしていたとき、4歳の男の子が来ていました。
ある日、教室のレッスンでチョウ、トンボ、カブトムシ、バッタなどの絵カー
ドを見せると、その子はものすごく怖がって、教室をやめてしまったのです。
その子のお母さんが虫が大嫌いだということでした。
その子の家は長野県の農家で、周りにたくさん自然があります。
まだ4歳の子供が、もうはっきりとした昆虫嫌いになっている!
子供の好みは随分小さいときに決まるものだ、と思いました。

多くの人は、3歳の頃の記憶を忘れてしまっています。
私の場合は、4歳のときに東京から大阪へ引越しをして
生活環境がガラッと変わったため、
引っ越す前と後、という区切りがついたせいか、
3~4歳の頃のことを結構覚えています。
東京の家の前は田んぼで、裏には松林があり、晴れた日には遠く富士山が見えました。
その頃から自然が大好きでした。
大阪の家の周りには田んぼや原っぱはありましたが、
木が無くてとても寂しかったのです。

アメリカでも日本でも理科離れが問題になっていますが、
子供たちが小さい頃過ごす環境に自然が無く、自然の中で、
「面白いな、不思議だな、なぜだろう?」
と考える機会がなくなっていることも大きな原因だと思います。

話を元に戻しますと、音楽教育家、鈴木鎮一は、「より早き時期」と言っていま
す。
アメリカの脳障害児研究の権威、グレン・ドーマン著「幼児は算数を学びたが
っている」
ソニー会長の故井深大著「幼稚園では遅すぎる」なども参考になります。
また、フランス言語心理学者のトマティス博士によりますと、
絶対音感の習得は、0歳が最も高く、年齢が上がるにつれて減少していき、
6歳ではほとんどなくなってしまいます。
このことから、音楽や語学学習を始めるのはできるだけ小さいうちから、
と言われているのですが、
どの教科でも、できるだけ小さいうちから始めるのが理想です。
といっても、子供に無理強いをするのではなくて、
遊びながら自然に吸収できるような「環境」を作ってあげる、ということです。

アメリカの天文学者、故カール・セーガン博士は4歳の頃、
兄の勉強していた数学に興味を持ったそうです。これも「環境」です。

いつ頃始めればよいか、というと、理想的には、妊娠したらできるだけ早く、
ということです。
赤ちゃんを迎える準備と一緒に、教育の準備も始めていただきたいのです。

胎児が音を聞くことができるのは6ヶ月からですが、
お母さんが赤ちゃんの教育に慣れるのにも時間が必要だからです。
一番理想的なのは、妊娠を希望したときから、準備を始める、ということです。
もちろん、子供の教育は多岐にわたり、お勉強だけではありません。
日常生活のしつけ、温かい心をはぐくむことなど、
すべて0~3歳のときにどのような環境で過ごしたかが一生を左右する、
と言っても過言ではありません。

「三つ子の魂」は、3歳のときのことだけではなくて、
胎児のときも含めた、0~3歳の過ごし方の積み重ねによるものです。
「三つ子の魂百まで」
ぜひこの言葉をしっかり覚えておいてください。’


2. 門前の小僧習わぬ経を読む
「三つ子の魂百まで」と並んで、私が座右の銘にしている諺がもう一つありま
す。「門前の小僧習わぬ経を読む」という諺です。

昔、お寺の周りに住んでいた子供達は、毎日お経を聞きながら遊び、
自然に覚えて、唱えることができるようになっていました。

現代では、テレビCM や流行歌、アニメやドラマの主題歌などを繰り返し聞く
うちに、子供達はすぐに覚えて真似をします。
これは、日本語を覚えたのと同じ原理で、繰り返し聞くことによって、
脳に記憶が定着した、ということです。

このCMやアニメソングの代わりに、
算数、英語、理科、社会、俳句、短歌などの映像や音声、
クラシック音楽を流したり、目に付く場所に名画を飾っておくと、
自然に吸収することができます。

これが母国語方式学習の具体的な方法です。
算数・数学を中心に、幼児期からの自然体験、博物館・美術館体験、
ボランティア体験なども取り入れた、
母国語方式の総合学習を提案して参りたいと思っております。


3. 能力獲得2000 時間の法則
私たちは、大変小さいときに言葉を覚えたため、普段は自分の国の言葉、母国
語を無意識で話しています。
でも、これは本当はとても素晴らしい能力なのです。
私たちはどうやって言葉を覚えたのでしょうか?
母親や父親、兄弟など、周りの人たちから毎日話しかけられるうちに自然に覚
えたのですね。
どの国の言語でも、大体2000 時間聞き続けることによって、脳に記憶がしっか
り焼き付けられて、リスニングの力ができる、と言われています。
2000 時間というと、1日1時間なら6年、2時間なら3年です。
このことは現在一部の英語教育に取り入れられていますが、他のことにも当てはまると考えられます。

たとえば、音楽です。
2000 時間音楽を聴くことによって、音楽の能力が身につく。
2000 時間絵を描く、料理を作る、運動をする、など。

そして、数学、国語、理科、社会なども同じことだと考えられます。
算数・数学の映像や音声などを2000 時間見聞きすることにより、
算数・数学の能力が定着し、自分で勉強できるようになります。
その際注意しなければならないことは、2000 時間見聞きする前に、
「勉強しなさい。」と絶対に言わないようにしていただきたい、ということです。
自ら勉強する場合に、自分の中にある程度の知識が蓄積されて、
それを外へ出していく、ということであれば割合スムーズに行くのですが、
従来は蓄積する前に「自分で勉強しなさい」と、
子供たちに勉強を強制してしまい、子供たちを勉強嫌いにしてしまう、
ということが多かったのです。
私自身もそうでした。
親から、勉強しなさい、勉強しなさい、と毎日言われていたときにはまったく
勉強ができませんでした。
私を変えたのは、ある科学者の映像と、音楽のCDでした。
その映像とは、アメリカの天文学者、カール・セーガン博士のCOSMOSの
DVD7枚組で、音楽CDは、スズキメソードのバイオリン教則本の8枚のC
Dでした。
これらのDVDやCDを毎日毎日何年も見聞きし続けることによって自分の中
に情報が蓄積されていき、ついにコップの水があふれるように私は自ら学ぶこ
とができるようになったのです。
始めるのが遅かったので、やっとこのような状態になれたのは、40歳を過ぎ
てからのことでした。(苦笑)
みなさんには、このようなことの無いように、できるだけ早く、と思います。
音楽教育家、鈴木鎮一は、子供を勉強嫌いにする方法は、
「勉強しなさい。」とガミガミ言うことだ、と言っています。

子供の中に情報がしっかり蓄積されれば、必ず子供は自分の内側にあるものを
外へ出すようになります。
しっかり覚えている歌を、鼻歌を歌うように。
そのときを楽しみに、ゆっくりと待ちましょう。
そして、「三つ子の魂百まで」のところでもお話しましたように、大きくなって
好みがはっきりしてしまう前に始める、ということが肝心です。

ぜひこれらの点に気をつけて、お子さんが将来楽しく学んでいけるようにして
あげてください。

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